禅について
禅宗の系譜
中国の唐の時代に、「五家」といわれる臨済・曹洞などの禅宗五宗が生まれました。
このように系統別の宗派が興ったのは、教理上の対立というわけではなく、各宗祖の禅的個性により分かれたもので、お釈迦様以来の正法を伝えていることにかわりはありません。
日本には現在、臨済宗・曹洞宗・黄檗宗の禅宗三宗があります。
臨済宗では、とんちで有名で自由奔放な人生をおくった一休禅師、柳生但馬守の禅の修行の師である沢庵禅師はよく知られています。
曹洞宗では、歌を詠み、子供と遊ぶ、生涯清貧に生きた良寛禅師が有名です。
黄檗宗は、江戸時代に中国の渡来僧である隠元禅師が当時の臨済宗の様式を伝えたものです。
隠元禅師が中国にいた黄檗山万福寺から名前をとり黄檗宗といわれます。
禅と文化
禅と日本文化とは深いつながりがあります。
茶に関しては、栄西禅師が新しい茶の種子と栽培法、喫茶法を伝え、喫茶養生記を著し、やがて禅の境地を喫茶に求める「わび・さび」の茶道へと展開していきます。
武道に関しては、宮本武蔵が禅僧のもとに参じて修行し、柳生宗矩は沢庵禅師に参じて「剣禅一如」を追究しており、武道が「術」でなく「道」であるのは禅の影響が大きいからといえます。
庭園造りにも、作庭者の内なる心の表現していく枯山水を代表とする禅の庭が生まれ、龍安寺の石庭などが有名です。