座禅会 敵の大将を打ちとる

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本日、坐禅会が開かれました。

初参加の方、7名を含め、14名のご参加をいただきました。

25分の座禅を2セットして、茶話会。

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このたびも、やまだ屋さんから座禅会の皆様に施菓をいただきました。

いつもありがとうございます!

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茶話会の話は、夢窓疎石禅師の話。

夢窓疎石禅師は、鎌倉時代から室町時代にかけて活躍した臨済宗の僧侶。

京都の大本山、天龍寺を開かれ、また、多くのお寺の庭園を設計した方としても有名です。

そんな疎石和尚が、かつて地方の小さなお寺にいた頃、一緒に住んでいた僧侶たちの中で、闘争心の強い人がいました。

その僧侶が、疎石和尚に、「私には闘争癖がありますが、どうすれば治せますか」と尋ねました。

すると、疎石和尚はこう言いました。

「闘争を好む癖を知っていれば、闘争心は起こらないものだ。まあそれよりも、うまく戦う方法を教えよう。」

「世間では上手に戦いをする人は、まず敵の大将に目をつける。他の兵は相手にしない。大将さえ打ちとれば、他の兵は自然に滅びてしまうからだ。だから、おまえさんの心に背く敵の中で、誰がその大将かしっかり見定めるのじゃ。たとえ他人にののしられたり、たたかれたりしても、それによっておまえさんが地獄に落ちることはない。そのような悪縁によって起こす怒りの心がおまえさんの良い心を焼きつくして、おまえさんを地獄に落としてしまうのだ。だから、自分を害する大将は他人ではない。まさに自分の心だ。もし、闘争心が起きた時は、まず自分の心に目を向けて、それを打ちとるのだ。」

それを聞いた僧侶は、「よく分かりました。」と涙をこぼしながら、お礼を言いました。

それからというもの、その僧侶は実に柔和な人間になったそうです。

そんな疎石和尚が、一人の弟子を連れて旅に出た時がありました。

天龍川から舟に乗った時、満員になった舟に一人の酔っ払いの武士が乗り込んできました。

その武士がふらふらとよろめいて動いて舟が大きく揺れるので、他の乗客ははらはらしていました。

その様子を見て疎石和尚が「そんなに動きなさると舟が沈みますわい。皆に迷惑じゃから、しばらくお静かにしてくだされ。」と穏やかに話しました。

しかし、その武士は、注意された事に腹を立てて、疎石和尚の額をなぐりつけ、額から血が流れました。

それを見ていた疎石和尚の弟子は、「おのれ、この乱暴者!」とその武士に手を出そうとしました。

その弟子は、元武士で相当腕の立つ人でした。しかし、その手を止めたのは疎石和尚でした。

「これくらいで腹を立ててはいかん。口先ばかりの忍辱ではいかん。仏教の修行はここじゃ。」

と叱って、こんな歌を詠みました。

打つ人も 打たるる人も もろともに ただひとときの 夢のたわむれ

無事に舟が岸について、疎石和尚が額の傷を川辺で洗っていると、先程の武士がひれ伏して、

「あなた様のお名前は何とおっしゃいますか。先程の無礼、どうぞお許し下さい。」と深く懺悔しました。

このことが縁となって、その武士は出家して、疎石和尚の弟子となったそうです。

私達は生活している中で、色々な思いが次々と浮かんでまいります。

その中には、貪りの思い、怒りの思い、愚かな思い、私達を苦しめる思いも出てまいります。

そんな時は、その思いが私達の良い心に背く敵の大将なのだと見定めましょう。

そして、「ただひとときの夢のたわむれ」なんだと、本日の座禅のようなゆったりとした呼吸をして、その思いをしずめてまいりましょう。

このような話をいたしました。

来月は、紅葉のシーズン。観音寺ではドウダンツツジの紅葉が見られます。

座禅会と共に、紅葉も見にいらっしゃって下さい!

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